太りやすさは脂肪細胞で決まるのか?

小栗 靖生

肥満という言葉をご存じでしょうか。肥満とは、主に脂肪が過度に蓄積した状態を指します。そのため、脂肪細胞と聞くと、体に脂肪をため込む細胞というイメージをもつ方が多いかもしれません。一般的にイメージされる脂肪細胞(白色脂肪細胞)は、食べ物から得た余剰なエネルギーを蓄える働きを担っています。しかし、脂肪細胞にはそれだけでなく、熱をつくり、エネルギーを消費するタイプの細胞も存在します。それが、褐色脂肪細胞やベージュ脂肪細胞です。

褐色脂肪細胞やベージュ脂肪細胞には、ミトコンドリアが多く存在し、これらの細胞に特徴的なタンパク質の働きによって積極的に熱を産生します。そのため、褐色・ベージュ脂肪細胞は、体重管理において重要な役割を担うと考えられています。つまり、同じエネルギー量の食事を摂取したとしても、エネルギーを消費しやすいヒトと、消費しにくいヒトがいると考えられます。

こうした背景から、熱産生に関わる脂肪細胞を増やす方法や、その機能を高める方法を明らかにすることは、肥満の予防・改善に向けた新たな手がかりになると期待されます。私たちはこれまでに、ビタミンに似た働きをもつテトラヒドロビオプテリン(以下、BH4)という物質に注目して研究を行ってきました(JCI Insight 2017)。その結果、BH4が不足した実験動物(マウス)では、BH4が正常なマウスと比べて褐色脂肪の働きが低下しており、寒い環境で体温を維持することが難しくなることが分かりました。さらに、脂肪を多く含む飼料を与えると、BH4が不足したマウスは太りやすいという特徴も観察されました。

このように、太りやすさは摂取する食物のエネルギー量だけで決まるものではなく、身体がどの程度エネルギーを消費できるかによっても左右されます。また、このエネルギー消費能力には、褐色脂肪細胞やベージュ脂肪細胞の量や機能が関係していると考えられます。

この記事を書いた人
小栗 靖生
小栗 靖生
おぐり やすお

奈良女子大学 生活環境学部 食物栄養学科 専任講師

専門分野:臨床栄養学、健康科学、代謝学

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