使われなくなった学校は何に生まれ変われるのか?

加藤 亜矢子

 私の専門分野は建築デザイン・建築設計です。多くの大学教員は研究者であり、研究を行い、成果を論文としてまとめて、その知見を社会に役立てています。私の場合、そうした研究者とはちょっと違っていて、実社会の中で実際に建築の設計をしている実務者としての大学教員です。

 さて、話は変わりますが、現在、少子化が進んでいる中で、毎年いくつもの学校が廃校になっていることをご存知でしょうか?文部科学省が実施している調査によると、2004年〜2023年までの20年で廃校になった小学校・中学校・高等学校は合計8850校に及びます。つまり毎年450校近くが廃校になっているということです。

 こうした学校建築は、卒業生や地域の人たちにとっては思い出が詰まった愛着のある場所で、まちの資源のひとつです。一方でこれらを管理する自治体にとっては、建築を解体するにも費用がかかり、維持するにも人手や費用がかかる悩ましい存在です。こうした状況の中、廃校を民間の力も借りて利活用していこう、という動きが活発になってきています。2024年に行った調査によると、こうして廃校になった学校の75%近くが、何らかの形で活用されている、というデータが出ています。ただ、私自身もいくつも活用事例を見に行きましたが、多くの場合は、建物をあまり変えずにそのまま使っているようです。

 このような状況の中、私は、奈良県吉野町にある旧吉野小学校の利活用プロジェクトに設計者として関わることになりました。ここでは、ある民間企業が小学校の利活用事業を行うことが決まり、宿泊型の研修施設 兼 地域の交流施設として生まれ変わることになりました。ここでは、もともと建っている小学校の建物を最大限活かしながら、大浴場となる建物を増築し、研修者の利用だけでなく、地域の人たちが日々訪れて憩える場所をつくります。理科室だった場所はカフェテリアとなり、昇降口の前の庭は子たちが安全に遊べる広場になります。

 ある地方のまちで、まちの人たちの思い出がいっぱい詰まった小学校が、今、そして未来のまちの人たちが新たな記憶を重ねていける場所になることを目指して、2027年4月にオープンする予定です。使われなくなった小学校の新しい姿をぜひ見にいらしてください。

旧吉野小プロジェクト 建築模型
旧吉野小プロジェクト 建築模型
旧吉野小プロジェクト 完成後の中庭のイメージパース
旧吉野小プロジェクト 完成後の中庭のイメージパース
この記事を書いた人
加藤 亜矢子
加藤 亜矢子
かとう あやこ

奈良女子大学 生活環境学部 住環境学科 准教授

専門分野:建築設計・建築デザイン分野

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