スポーツを支える公的な仕組みとは?

平塚 卓也

 スポーツは、我々にとって比較的身近なものではないだろうか。好きか嫌いかは別にしても、学校体育で様々なスポーツ種目を経験してきたし、テレビで何らかのスポーツが放送されているのを見たこともあるはずだ。

 それと同時に、スポーツは、私的なもののように感じないだろうか。学校体育を除けば、我々がスポーツをするかどうかは、個人の自由意思に基づいた決定であるし、我々がテレビで目にするスポーツは、プロスポーツのように民間組織によってビジネスとして展開されている。

 それゆえ、スポーツは、政治や行政などの公的な仕組みとは一線を画する存在に感じるかもしれない。しかし、果たしてそうだろうか。例えば、運動部活動で市大会や県大会に出場する場面を思い浮かべてみよう。会場(体育館やグラウンド)に来た我々は、これから始まる試合のことで頭がいっぱいになっていると思うし、終わった後には嬉しかった/悔しかったと感じながら家路につくと思う。そのため、あまり目にすることはなかったと思うが、会場はきっと〇〇市立体育館や〇〇県立運動公園などの名称ではなかっただろうか。つまり、会場は、地方自治体によって建設された公共スポーツ施設だったということである。

 さらに、その公共スポーツ施設が建設されるまでのプロセスにも思いを馳せれば、次のようなことが浮かび上がってくる。行政の担当部署は、建設計画を立案し、予算案を組む必要があるし、その予算案は、議会の承認を受ける必要もある。また、場合によっては、スポーツ団体から施設設備をめぐって細かな要望があるかもしれないし、逆に地域住民から騒音や混雑を懸念した反対があるかもしれない。あるいは、国から建設費の一部補助を受けるために、中央省庁と連絡・調整をしなければいけないかもしれない。公共スポーツ施設は、このような政治的・行政的なプロセスを経てはじめて建設されるのである。

 ここでは、スポーツ施設を事例にスポーツを支える公的な仕組みの一端に触れてきたが、ほかにも様々な事例が存在する。例えば、目下進められようとしている運動部活動の地域展開なども政策的な背景を抜きに語り得ない象徴的な事例である。残念ながら、ここではもう紹介する余裕がないが、大学の学びを通して、我々のスポーツ活動を様々な視点からとらえ直すことができる可能性に気づいていただければ幸いである。

この記事を書いた人
平塚 卓也
平塚 卓也
ひらつか たくや

奈良女子大学 生活環境学部 心身健康学科 スポーツ健康科学コース 専任講師

専門分野:スポーツ政策学、スポーツ法学

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