脂肪酸が健康に及ぼす影響を細胞レベルで探る

菅 尚子

私たちが普段口にする脂質には、さまざまな種類の脂肪酸が含まれています。和食や洋食など、食事のパターンが変わると、摂取する脂肪酸の比率や量も変わってきます。そこで、私は、脂肪酸の種類や比率が人の健康に及ぼす影響を明らかにすることを最終的な目標とし、その基盤となる細胞応答や分子メカニズムについて、培養細胞を用いて解析しています。

一つ目のテーマは、ヒト結腸癌由来細胞(Caco-2細胞)を用いた研究です。腸は栄養素を吸収するだけでなく、有害な物質や病原体の侵入を防ぐ「バリア」として重要な役割を担っています。現在は、飽和脂肪酸の一つであるパルミチン酸がどのようにして腸のバリア機能を低下させるのか、その分子メカニズムを明らかにすることを目指しています。

二つ目のテーマは、ヒト卵巣顆粒膜細胞腫(KGN細胞)を用いた研究です。顆粒膜細胞はステロイドホルモンを産生し、女性の健康や生殖機能の維持に重要な役割を担っています。そこで、培地中の脂肪酸比率を変えて顆粒膜細胞を培養し、細胞から放出されるステロイドホルモンの量を質量分析器で測定したり、それぞれのホルモンを代謝する遺伝子やタンパク質を解析したりしています。将来的に女性の健康増進の基盤構築につながるような研究を行いたいと考えています。

本学の食物栄養学科は、管理栄養士を目指すだけでなく、食と健康について科学的に探究し、新しい知見を生み出すことに挑戦できる環境だと思います。食品、栄養、人体を一つのつながりとして捉え、管理栄養士としての視点を持ちながら研究できることは本学科ならではの魅力です。

最後に、研究とは少し離れますが、奈良女子大学ならではの魅力もぜひ紹介させてください。キャンパスやその周辺では鹿を見かけることが多く、春にはかわいらしい仔鹿に出会えることもあります。また、歴史ある建物や四季折々の美しい景色がすぐそばにあり、豊かな自然に恵まれた環境も本学の特色の一つです(私自身、毎日記念館の美しさに見とれています)。もし入学されたら、奈良女子大学が皆さんにとって新しいことに挑戦し、自分自身を成長させる場であるとともに、いつでも安心して帰ってこられるような、心安らぐ場所となると嬉しいです。皆さんの入学を心よりお待ちしております。

この記事を書いた人
菅 尚子
菅 尚子
すが なおこ

奈良女子大学 生活環境学部 食物栄養学科 助教

専門分野:食品機能学、基礎栄養学、食品加工学

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